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日本の胃悪性腫瘍の内視鏡手術・外科手術の実態と地域差

2024年10月10日
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター

研究成果のポイント

国立研究開発法人 国立国際医療研究センター(略称:NCGM)国府台病院総合内科、消化器・肝臓内科などの研究グループは、2014年度から2021年度にかけて日本全国で行われた胃悪性腫瘍の切除手術に関する疫学研究の結果を、日本胃癌学会と国際胃癌学会の査読付き英文誌であるGastric Cancer誌に発表しました。本研究は、日本の健康保険請求データをもとに、胃悪性腫瘍患者に対して行われた内視鏡手術、腹腔鏡手術、および開腹手術の実施数を分析し、地域ごとの治療法の違い、患者の年齢・性別の分布、COVID-19の流行の影響についても明らかにしました。

研究の背景

胃がんは世界的に見ても東アジアで罹患率が高く、日本でも特に高齢者に多く発生しています。日本では近年、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)など、体への負担が少ない内視鏡手術が広がってきていますが、治療法の地域格差や全国的な標準化が課題となっていました。本研究の目的は、日本全国における胃悪性腫瘍(主に胃がん)切除手術の実態を明らかにし、今後の診断・治療の標準化・均てん化や医療政策に資するデータを提供することです。

概要

  • 研究名:Clinical epidemiology of the endoscopic, laparoscopic, and surgical resection of malignant gastric tumors in Japan, 2014–2021: a retrospective study using open data from a national claims database
    レセプト情報・特定健診等情報データベースを用いた、日本の2014年度から2021年度の胃悪性腫瘍の内視鏡・腹腔鏡・開腹手術の臨床疫学
  • 方 法:厚労省が集計・公開しているレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDBオープンデータ注1))を利用し、2014年度から2021年度に行われた胃悪性腫瘍の切除手術数のデータを分析しました。NDBは、日本のほぼ全ての健康保険請求データを含む大規模なデータベースであり、今回の研究では、胃がんを含めた胃悪性腫瘍の内視鏡手術、腹腔鏡手術(ロボット支援手術を含む)、開腹手術の3つの手術方法の数と割合に関して、年齢・性別による分布や地域差について分析しました。COVID-19のパンデミックが手術件数に与えた影響についても評価しています。また他の公開データを用いて、胃悪性腫瘍の手術に関連する4種類の専門医の人数の地域差なども調べました。

用語解説

注1)NDBオープンデータ:NDBには保険診療に関する様々な匿名化されたデータが含まれ、国民皆保険の日本ではほぼ全数に近く国民の医療動向を把握することができます。NDBは患者個人単位の詳細なデータが含まれ、多くの研究が行われていますが、利用のための手続きや、データを取り扱うためのスキルなど、利用のハードルは低くはありません。今回利用したNDBオープンデータは厚労省が公開しているもので、手術や検査などの全国の総数と、性別・年齢別、都道府県別、月別、二次医療圏の内訳が利用可能です。限られたデータしか利用できない一方で、誰でも利用可能であり、今回の研究も含めて、様々な研究が行われています。

問合せ先

研究に関するお問い合せ

国立研究開発法人 国立国際医療研究センター
国府台病院 総合内科
酒匂 赤人
電話:047-372-3501(代表)

報道に関するお問い合せ

国立国際医療研究センター(NCGM)企画戦略局 広報企画室
Tel:03-3202-7181
E-mail:press(at)hosp.ncgm.go.jp
※(at)は「@」に置換してください。
〒162-8655 東京都新宿区戸山1-21-1