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国⽴国際医療研究センター職員における 新型コロナウイルスN 抗体保有率の推移

2024年8月19日
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター

国⽴研究開発法⼈ 国⽴国際医療研究センター(略称︓NCGM)では、新型コロナウイルス感染症パンデミック初期の2020年7⽉以降、職員を対象にした⾎清疫学調査を計10回実施し、感染の広がりや感染防御に関する免疫の状態を調べてきました。これらの調査をもとに、新型コロナウイルスの抗体保有率の推移について取りまとめました。

NCGM職員における新型コロナウイルス抗体調査の概要

  1. 調査時期︓第1 回(2020 年7 ⽉) 第2 回(2020 年10-12 ⽉) 第3 回(2021 年6 ⽉)
         第4 回(2021 年12 ⽉) 第5 回(2022 年3 ⽉)    第6 回(2022 年6 ⽉)
         第7 回(2022 年12 ⽉) 第8 回(2023 年6 ⽉)    第9 回(2023 年12 ⽉)
         第10 回(2024 年6 ⽉)
  2. 対象者︓ NCGMで勤務する常勤・⾮常勤・派遣・委託職員
  3. 抗体試薬︓ アボット社製およびロシュ社製の定性試薬で測定した抗SARS-CoV-2 ヌクレオカ プシド(N)タンパク質抗体※1
  4. 抗体保有の定義︓各調査時点において両試薬のいずれかで陽性

結果の概要

NCGM職員におけるN 抗体保有率※2は、パンデミック初期の2020年7⽉には0.2%と⾮常に低かっ た。オミクロン変異株が登場した2022 年にこの値は急増し、2022年6⽉には16.4%、同年12⽉には36.9%であった。2023年以降も上昇を続け、2024年6⽉には77.4%に達した。2024年6⽉時点 のN 抗体保有率を性・年齢別に調べたところ、⼥性では若い世代ほど⾼い傾向がはっきりみられるが、男性では50歳未満における年齢間の差はわずかであった。

NCGM職員における新型コロナウイルスN抗体保有率の推移 性・年齢階級別のN抗体保有率

用語説明

※1 抗SARS-CoV-2 ヌクレオカプシド(N)タンパク質抗体︓
新型コロナウイルスに感染することで体内で産⽣される抗体です。国内での接種に⽤いられてきたフ ァイザー社、モデルナ社、および武⽥社の新型コロナウイルスワクチンはN タンパク質を標的としていないため、これらのワクチンを接種してもN 抗体は産⽣されません。そのため、N 抗体は新型コロナウイルスの感染既往を調べる指標として疫学研究で⽤いられています。N 抗体は、感染から時間が経過するにつれ徐々に減少していきます。数年前に感染した場合はN 抗体が陰性になることもあり、N 抗体だけで過去の感染をすべて把握できるわけではありません。

※2 N 抗体保有率︓
各調査時点において、アボット社製およびロシュ社製のN 抗体試薬のいずれかで陽性の⽅の割合を⽰しています。過去の調査でN 抗体が陽性となった後、陰転化した場合は含みません。アボット社の試薬は罹患後半年ほどで陰転化しやすい⼀⽅、ロシュ社の試薬は罹患後1 年半ほど経過しても陰転化しにくいことが報告されています。また、N 抗体保有率は、1 回でも新型コロナウイルスに感染した可能性がある⽅の割合を⽰しており、複数回感染した⽅も含みます。

お問合せ先

  • 研究に関すること
    国⽴国際医療研究センター 臨床研究センター 疫学・予防研究部
    部⻑ 溝上哲也(みぞうえ てつや)、主任研究員 ⼭本尚平(やまもと しょうへい)
    電話︓03-3202-7181
  • 取材に関すること
    国⽴研究開発法⼈ 国⽴国際医療研究センター 企画戦略局 広報企画室
    電話︓03-3202-7181
    E-mail:press@hosp.ncgm.go.jp

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